第11回全国公演作品(2003〜2006)
「泣き虫桃太郎」













STAFF
脚本・演出:大久保一康
演出協力:庄ア隆志
美術:福永朝子
音楽:やなせけいこ



「泣き虫桃太郎」
(2003年3月、こどもの城青山円形劇場にて初演)

元祖スーパーヒーロー、むかしばなしの代名詞ともいうべき桃太郎を、
泣き虫でも心やさしい男の子として描いた冒険物語。
手話やプラカードなどの「目で見る」セリフや身体表現に加え、
人形劇ならではの仕掛けも満載した作品。
厚生労働省社会保障審議会推薦児童福祉文化財指定。

あらすじ

 昔むかしのそのまた昔、じいさんばあさんおったげな。 じいさん山へしば刈りに、ばあさん川へ洗濯に行ったとさ。 ある日あるときばあさんが、ジャブジャブゴシゴシ洗濯をしていると、上の方からドンブラコッコ、スッコッコ、でっかいモモが流れてきやる。 あんまり大きなモモなので、あわててじいさんよびもどし、力をあわせてエンヤコラ、そのモモを拾いあげました。
さっそく切って食べようと包丁をふりかぶると、ポッカリわれたモモの中から、かわいいかわいい男の赤ちゃん、オギャアオギャアと飛び出した。 大よろこびのじいさんばあさん、男の子に“桃太郎”と名前をつけました。
 と、ここまではむかしばなしの「桃太郎」なのですが・・・。
 「泣く子は育つ」のことわざどおり、育つことには育ったけれど、1年、2年、3年たっても5年が過ぎても桃太郎、泣いてばかりの泣き虫毛虫。 じいさんばあさんは、ほとほと困って思案のあげく、桃太郎を鬼が島へと鬼退治の旅に出すことに決めました。 桃太郎はキビダンゴを腰に、泣く泣く鬼が島へと向かいます。 旅の途中で出会った動物たちと一緒に、桃太郎を乗せた小船はユラユラスイスイ鬼が島へと進みます。
 泣き虫毛虫の桃太郎、涙をふいて勇気をだして、見事に鬼をやっつけることができるかな?
 強いばかりが男じゃないけど、泣いてばかりじゃ情けない。さてさて、桃太郎の運命やいかに!


<演出家のことば>

 桃太郎はこの国で最も知られたお話のひとつです。 ご存知のように桃太郎が動物たち家来に鬼退治をして、宝を持ち帰り、親孝行するお話ですが・・・、考えてみると何だかとても、やるせない。 何がって、桃太郎が勇敢すぎないか、カッコ良すぎないか、本当はどんな子どもだったのか? 動物たちはなぜ家来になったのか? 鬼は人間にどんな悪さをしたのか、鬼と人間はどう違うのか?などなど・・・。
 よく知られた昔話を素材として料理するには、どういう切り口や味付けでみせるかが勝負です。 そこで、どうも引っ掛かる部分、みんながあまり手をつけなかった部分、語りで省略されていた部分を取り出して、さらに、人形劇的表現という器に盛り付けてみました。
 もし桃太郎が泣き虫だったら、もし鬼が風邪をひいていたら・・・。 泣き虫で弱虫の桃太郎が、鬼が島での体験を経て、やさしく、たくましく成長していく人形劇が、ろう者と聴者のチームワークで出来上がりました。 デフ・パペットシアター・ひとみの「泣き虫桃太郎」を、どうぞファミリーでお楽しみ下さい。

大久保一康


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